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―人間ドックにはさまざまなオプション検査がありますが、特にお勧めの検査は? |
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●ピロリ菌検査 |
将来の胃がんリスクに関連する「ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)」の検査は1度、受けていただきたい項目です。大人になってから新たに感染することはごくまれなので、1度受ければ良いと思います。
その結果、ピロリ菌が見つかったことがある方や、薬でピロリ菌を除菌した経験がある方は、胃がんの検査は胃部X線検査(バリウム)より、より精度の高い胃内視鏡検査(胃カメラ)をお勧めします。
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●頸動脈エコー(超音波検査) |
動脈硬化の進行状況がわかる検査です。50代以上の方、高血圧や尿酸値が高い方など、動脈硬化のリスクがある方にお勧めです。脳に近い頸部の動脈で動脈硬化が起こっていれば、脳卒中のリスクがあるということがわかるのです。残念ながら、一度起こってしまった動脈硬化自体は元に戻すことはできませんが、これ以上悪化させないということが大事です。また血管が詰まりそうな危険な状態だとわかれば、カテーテルで血管を拡げるなどの処置を発症前に行なうことができます。
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●PSA検査 |
血液検査で行なう、前立腺がんの腫瘍マーカーです。数多い腫瘍マーカーの中で早期がんでも数値が上がる、がん検診に有用な検査です。50歳以上の男性にはおすすめです。 |
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●女性のがん検診(乳がん、子宮がん) |
女性の場合、乳がんは40~50代、子宮頸がんは20代から増え始め、50代までかかることが多いがんですので、働き盛りの女性にはぜひ受けていただきたいと思います。 |
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●家族の病気も参考に |
病気のなりやすさは親から体質を遺伝的に受け継いでいるかどうかも影響します。家族にがん、糖尿病、高血圧の方がいる場合は、その項目のチェックを受けることをお勧めします。 |
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―がん検診のPET検査は、かなり高額です。その分精度が高いと言えますか。 |
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PET検査はがん細胞に糖が集まりやすいという性質を活かして全身のがんを見つけ出す検査です。胃カメラは胃がん、検便は大腸がん、胸部X線は肺がんとそれぞれの部位のがんしか見つけられないのに対し、全身のがんを拾うことができるのが特徴です。ただ、糖が集まりにくい粘膜の中にできるがん、早期の胃がんや大腸がんは見つけにくい面もあります。消化管のように管の形をした臓器は内視鏡の方が確実ですね。
実は、PET検査はがん治療後の患者さんにがんの転移がないかを調べたり、病巣の広がりを確認する検査方法としては保険適用となっていますが、健康な方を対象にした検査方法としてはまだ保険適用とはなっていません。それぞれの検査方法に得手不得手があるのは事実ですので、コストも踏まえて選ぶことが大切です。
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―ところで、自治体の住民健診ってみんな受けているんですか? |
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自治体の「住民健診」「がん検診」「歯科検診」などを受けるのは義務ではありません。非常に安く受けられるにもかかわらず、利用は非常に少ないですね。 |
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日本は、胎児のときから「妊婦健診」、産まれれば乳幼児健診から始まって、高齢になるまで国費で健診が受けられる。そんな国は海外にはなく、日本だけです。義務ではありませんが、むしろ権利ととらえてほしいと思います。 |
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―PE‐BANK会員には健診や人間ドックへの補助のほか、郵送型検査キットの購入補助も行なっています。 |
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それはいいですね。ITフリーランスの方は国保に加入されている方もいらっしゃると思います。自治体の住民健診に、自費の人間ドックを組み合わせて使うと、負担も少なくすむのではないでしょうか。 |
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昨年はコロナ禍で受診を控える人が多く、人間ドックも一時閉鎖したり、再開後も人数制限をしていたので、受けたいと思うときに予約できない状況がありました。予約が取れない、行きづらいときには、まずは郵送検診を受けてみるのも良いと思います。人間ドックは、未体験の人には結構敷居が高いようで、「勇気が要る」という方もいらっしゃいます。郵送検診はお試し受診の意味でも良いですね。こんなに簡単に、安心感がもらえることを知っていただけると思います。 |
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―最後に、プロエンジニアに向けてメッセージをお願いします。 |
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私も最近独立して、株式会社を設立したばかり。フリーランスに近い立場ですが、やはり身体が資本ですね。ですから、1次予防から取り組むことが大事です。将来の病気のリスクを早めに見つけて、健康的に仕事をしていただければと思います。 |
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―どうもありがとうございました。 |
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