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メルマガ2021.10.22

■PE共済会 メールマガジン【 第62号 】

< 共済まんが >「がんばれ! PE(ぺー)助 」
メンバーの運動不足が気になっているPE(ペー)助。運動指導にも熱が入ります。そんな中、なつかしい人とばったり。。(まんが 百万 友輝)
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一気に秋が深まり、肌寒いと感じることも増えてきましたが、みなさん屋外へ出られていますか?現在、テレワークや外出自粛が原因とされる「健康二次被害」が問題となっています。日常の運動量を確保するため、適度な運動習慣を心掛けましょう。
現在の自分の体の状態を知るためにちょうどよい動画を見つけましたのでご紹介します。現スポーツ庁長官で元ハンマー投げ日本代表・室伏広治氏が独自に考案したセルフチェック法だそうです。ご本人が模範実演されていますので、ご興味ある方はぜひチェックしてみてください。(スポーツ庁 動画紹介ページ https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/jsa_00040.html#001)
さて、今回のコラムは生活習慣病のひとつ「脂肪肝」についてです。「あぁ~、脂肪肝ね」と侮ることなかれ。意外に知らない事実が満載です。特に、最近「コロナ太りをしてしまった」という方はぜひ最後までご覧ください。
PE共済会 事務局 藤原
はじめよう!
「ジブンゴト健康経営」
< 特別インタビュー>
コロナ太りでひそかに増加中?あなたももしかしたら“脂肪肝”
長時間の仕事に加え、長引くコロナ禍の自粛生活で“コロナ太り”になっていませんか?肥満は肝臓の健康にも悪影響を及ぼします。 “脂肪肝”の気になるお話を専門の先生に伺いました。
(インタビューは2021年9月10日、オンラインで行いました)
お話:河田則文先生
(大阪市立大学医学部附属病院肝胆膵内科部長・教授)

聞き手:中保裕子
(医療ライター/有限会社ウエル・ビー)
「アルコールを飲まないから肝臓は大丈夫」は大きな誤解
―脂肪肝というと、何となく「フォアグラ」のイメージが浮かびますが、実際はどういう状態なのでしょうか。
河田:脂肪肝は「肝臓に脂肪がまとわりついている」と思われがちなのですが、実はそうではありません。脂肪肝とは肝臓を構成する「肝細胞」の中に脂質が蓄積する病気です。脂肪が貯蔵された肝臓はバターのような色になり、細胞は風船のようにふくらんで大きくなり、肝臓全体が腫れてきます。世間一般には「脂肪肝はたいした病気ではない」という誤解があるのですが、将来的には肝炎を起こし、肝硬変になったり、肝がんを発症したりすることもあるので、やはり放置してはいけない「病気」です。
―私も「たいした病気ではない」と思っていた一人なのですが、なぜそんな誤解が生まれたのでしょう。
河田:私が医師になりたての頃は「脂肪肝は良性の疾患で進行する病気ではない」と言われていたのです。悪い病気ではないと考えられていたので、脂肪肝を見つけても「脂肪肝ですよ」と伝えるだけだったんです。それが、1980年代に入ると米国で、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)が発見されました。お酒をほとんど飲まない(ビールならば男性1日あたり750mL(大瓶1本強)未満、女性は500mL未満)のに脂肪肝があって炎症が起き、皮膚と同じコラーゲンが肝臓に増えるという異常が報告されました。そこで日本でも患者さんを調べてみると、単に脂肪がついているだけという人は実は少なくて、ウイルス性の肝炎のように肝細胞がこわされてしまうことがわかったんです。肝臓はもともと再生能力に富んだ臓器で、肝細胞は繰り返しつくられるのですが、強い炎症が持続した場合は再生が追い付かず、肝臓にコラーゲンがつく「線維化」という現象が起こるのです。
-「線維化」とは…?
河田:皮膚の場合でたとえてみましょう。皮膚を傷つけると出血して、かさぶたができますね。言わばここまでが“炎症”です。かさぶたがとれるとテカテカになった皮膚が現れます。これが“線維化”です。これと同じことが肝臓で起こっていると考えてください。炎症により傷が繰り返され、線維化が広がるとともに肝臓が固くなってきます。個人差はあるのですが、線維化が早い方では40歳代で肝硬変、50代で肝がんを発症します。また、50~60代になると肝臓の機能が低下し、お腹に水がたまったり、黄疸が出たり、皮膚のかゆみ、吐血といった症状が出てくる可能性があるのです。つまり、脂肪肝は長い間、進行しない良性の病気だと思われていたのですが、B型肝炎やC型肝炎、アルコール性肝炎と同じように進行する病気です。ある病院では肝臓がんで手術を受けた方の半数がNASHだったという報告もあります。「アルコールを飲まないから大丈夫」と安心できる病気ではありません。もっとも、飲酒習慣がある人の脂肪肝=アルコール性脂肪肝炎の場合、より進行は早いと考えてください。
アルコール以前に食べ過ぎが原因の“生活習慣病”
―そもそも脂肪肝の原因は何ですか?
河田:要するに食べ過ぎですね。食べ物から取り込んだ動物性脂質やコレステロールは、胃・小腸で消化→血液やリンパ管を介して肝臓に運ばれてきます。そして肝臓で代謝されるのですが、その量が過剰になった場合に処理しきれずに肝臓の細胞の中にそのままたまっていきます。特に運動する機会のない人はエネルギーを消費する機会が減ったので、たまった脂肪が蓄積されやすい。日常的にパソコンで仕事をするIT業界の方も例外ではないと思います。
-メタボリックシンドロームでも同様のことが言われています。
河田:その通りです。脂肪肝も一種の「生活習慣病」であり、メタボリックシンドロームや睡眠時無呼吸症候群との関連性も深いです。脂肪肝と高血圧、2型糖尿病、肥満、脂質異常症の人には脂肪肝のリスクがあると考えてください。日本人男性は年々肥満の人の割合が増えているので、脂肪肝は増えていくと予想されます。
-どのくらいの人が脂肪肝なのですか。
河田:人間ドックの受診者の15~20%が脂肪肝を指摘されていることから、国内には2000万人くらいの脂肪肝の患者さんがいると推測されています。最近の傾向としては女性や小児の脂肪肝も増えています。
血液検査の肝機能数値は軽視しないで
―脂肪肝に症状はありますか?
河田:ほとんどは無症状ですので、先ほどお話しした人間ドックや健診で見つかるケースや、たまたま風邪など他の病気で受診したときに診断されるケースが多いです。時々、だるさが続くのでおかしいと病院を受診して見つかる場合もあります。ごくまれですが、お腹が張った感じと訴える方もいます。
―症状なくいつの間にか進行してしまうことも多いのですね。
河田:脂肪肝は腹部超音波検査(腹部エコー)で、画像から診断されるのですが、その前の血液検査の肝機能検査値に注目してください。肝臓は血液検査で肝機能を表す「AST」「ALT」「γ-GTP」の3つの値が全て正常値であれば健康です。皆さん異常値があっても「1つくらいなら…」「それほど高くないから…」と放置しがちなのですが、どれか一つでも異常値であれば、脂肪肝を含め肝臓が疲れているというサインです。ぜひ受診して腹部超音波検査を受けていたただきたいですね。また、先ほどお話ししたように、メタボリックシンドロームとの関連性も高いですから、肝臓以外の血糖値、総コレステロール値、尿酸値が高い方は脂肪肝にかかっている可能性が高いと考えてください。
深夜のラーメンはとにかく避けるべし
-脂肪肝にかかってしまっても、将来の肝硬変や肝がんの発症を予防することはできますか?
河田:もちろんです。早期発見・早期治療が大切なことは他の病気同様です。ただ、脂肪肝には治療薬がまだないんです。治験は進んでいるもののまだ承認されたものはありません。
-治療薬がないとは驚きました。では、どんな治療をするのですか。
河田:生活改善で脂肪肝の「原因」を排除していただくことになります。主なものは次の3つです。
-ダイエットとしてはそれほどキツくなさそうで、これならやれるかも…。
河田:最初からあまり頑張って食事制限しようとすると長続きしません。無理せずに継続して、半年で2㎏減を目指すくらいでよいと思います。ただ、どうしても食べる量を減らせない場合には、痩せるための薬を処方することもあります。ごく一部ですが、胃の一部を切除する手術も行われています。
-量だけではなく“食べ方”の改善が大事なんですね。
河田:とにかく一番よくないのは例えば深夜にラーメンのような炭水化物を摂ることです。就寝2時間前以降に食べたもののエネルギーは、睡眠中には消費されず蓄積されてしまうのです。今はCOVID‐19の影響で外で飲酒する機会は少ないと思いますが、深夜の仕事帰りの飲酒・食事は脂肪肝的には一番悪化させる要因です。また、少量でもアルコールを毎日飲み続けていると、自覚症状が鈍ることがあります。疲れか、酔っているのか、体調が悪いのかわからなくなってくる。仕事で疲れたからお酒を飲む。翌日も疲れがとれないのは、昨夜飲み過ぎたからだろうと思い、またその夜も疲れを紛らわすために飲む。病院を受診する機会もなく飲酒を続けているうちに、肝硬変に進んでしまうこともあります。
-“脂肪肝はたいした病気ではない”というのは大きな誤解であることがよくわかりました。肝臓は沈黙の臓器と言われるだけに、自分自身で守らなければいけないですね。ありがとうございました。
【プロフィール】河田則文先生
消化器内科医。特に肝胆膵内科を専門とする。1959年京都府生まれ。1986年に大阪市立大学医学部を卒業後、1991年より独・フライブルグ大学生化学研究施設客員研究員。2007年より大阪市立大学肝胆膵病態内科学教授。現在は大阪市立大学医学研究科長・医学部長。2015年より英・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの客員教授、越・ハノイ医科大学名誉教授も務める。
【ライター】中保裕子
医療・健康ライター ウェルネスマーケティングディレクター
中保裕子(なかほゆうこ)
有限会社ウエル・ビー 代表取締役 https://well-be.biz
<略歴>
広告代理店マーケティング企画部勤務、マーケティングコンサルティング会社取締役を経て1993年に独立、フリーランスとして活動後、2003年より法人化。 医療・健康情報の取材・記事執筆に従事。
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漫画<百万 友輝>
次回もお楽しみに!!
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