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メルマガ2021.12.13

■PE共済会 メールマガジン【 第63号 】

< 共済まんが >「がんばれ! PE(ぺー)助 」
今日はPE助の定例メンテナンス日。この日ばかりは、休息できると思いきやまたまたプロジェクトメンバーからの相談事が舞い込み。。。(まんが 百万 友輝)
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ふと気づけば今年ももうあとわずか。日に日に寒さが増してきますね。体調など崩していませんか?日頃から出不精な私が、運動不足解消のために何かしなければと購入したのが「バランスクッション」。ただ座っているだけで体幹が鍛えられると聞き、最近愛用しています。座るだけで背筋が伸び、腰痛対策にも良さそう。ながらトレーニング、取り入れてみてはいかがですか?
さて、今月のコラムは年明けいよいよ本格シーズンを迎える「確定申告」のお話です。今回は「決算書編」「申告書編」と2回シリーズにして、今年度確定申告のポイントに触れながら基本をしっかり押さえる内容になっています。日頃からフリーランスの申告に携わられている税理士の田中卓也先生に教えていただきます。今年最後のメルマガ、ぜひ最後までお楽しみください。
PE共済会 事務局 藤原
【2021年分 確定申告シリーズ①】
2022年3月期コロナ禍時代の確定申告 決算書作成上の注意点
田中卓也税理士事務所
年があけると間もなく2021年(令和3年)分、つまり2022年3月期(令和4年3月期)の確定申告シーズンがスタートします。ひとくちに確定申告といっても個人事業主の方にとっては青色申告決算書(白色の場合は収支内訳書)を作成してからでないと、申告書作成にはとりかかれません。
そこで、ここでは青色申告決算書(以下、決算書という)の作成する上での注意点と今後の方向性についてとりまとめておきます。
青色申告特別控除65万円控除の適用におけるe-Taxの推進
2020年(令和2年)分申告より、青色申告特別控除65万円の適用を受けるためには、以下の要件をすべて満たしている必要があり、ひとつでも満たしていない場合、適用を受けることができないこととなっています。
それは
④がなければ、青色申告特別控除55万円に引き下がります。また、①~③の要件がひとつでも欠けると青色申告特別控除は10万円に引き下がります。
つまり、青色申告特別控除65万円の適用を受けるためには原則「 e-Taxで確定申告手続きを行う」ということが必須となるということです。
これは昨年に引き続いている税制改正事項なのですが、個人事業者の場合、白色申告から青色申告に変更するためには「所得税の青色申告承認申請」を、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までに所轄の税務署に提出しなくてはなりません。つまり、2021年(令和3年)3月15日までに「所得税の青色申告承認申請」を所轄の税務署に提出しておく必要があります。
ただし、青色で申告しておくと、上記の青色申告特別控除の活用のほか主立ったところでいうと
といったものがあります。このほかにも
特典があるので、青色申告でない方はまずは青色申告で決算書を作成することを検討してみてください。
したがってここでは以後主に青色申告で決算書を作成する方に向け、決算書作成上の注意点をとりまとめていきます。

<この章の参考リンク>
●タックスアンサー2070 青色申告制度 (出典:国税庁)
 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
●所得税の青色申告承認申請手続 (出典:国税庁)
 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
●青色事業専従者給与に関する届出手続 (出典:国税庁)
 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm
●少額減価償却資産の特例 (出典:中小企業庁)
 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/2020/download/06zaimu.pdf
助成金のうち課税扱いのものはきちんと記載
次に2021年(令和3年)分の確定申告というところから新型コロナウイルス感染症(以下、感染症という)も引き続き影響してきます。特に、助成金・給付金の類で課税扱いのものは決算書にきちんと記載しておく必要があります。
したがって、感染症等の影響に関連して支給される助成金で課税扱いされるものと、非課税扱いでいいものとをきちんと区分することがポイントです。
以下の主だったものの課税・非課税を列挙しておくので参考にしてみてください。
各種給付金や助成金がありますが、課税されるものと非課税となるものの区分は以下のように考えるとわかりやすいでしょう。
例えば、課税されるものの代表例に「持続化給付金」も「家賃支援給付金」があるのですが、この支給要件のひとつに「対前年同月の売上が50%以上減少していること」ということがあります。これは逆からみると「感染症の影響で売上が一定額以上減少している」つまり、課税される給付金や助成金は収入の補てんや経費の助成といった性格を帯びています。
一方、課税されないものの代表例として令和2年4月に実施された一律10万円支給された特別定額給付金がありますが、「感染症の影響によるダメージの経済的補填であって、プラスに寄与するものではない」という考えにより、非課税とされているものです。

いずれにしても、持続化給付金や東京都の感染拡大防止協力金に代表される課税扱いとなる給付金は支給決定時に事業所得上の総収入金額に含めることとなります。総収入金額に含めるので、売上に算入しても、雑収入に算入しても課税の対象とされていれば支障はないのですが、実務上、たとえば青色申告決算書に表示する場合、月別の売上と区分して、下記のとおり雑収入の欄に記載するほうが課税の対象としてきちんと処理されている旨が明示できると考えられます。
<この章の参考リンク>
●新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係 (出典:国税庁)
 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/04.htm
コロナ渦における在宅勤務と自宅兼事務所の必要経費の按分
また、コロナ禍においては一般企業においてもリモートワーク、いわゆる在宅勤務という形態とるケースが増えてきています。国税庁での2021年1月この件に関して「在宅勤務に係る費用負担に関するFAQ」(以下FAQという)(最終更新日2021年5月31日)という想定問答集がだされ、これが間接的に決算書作成に影響してくるとされていますので、ポイントを整理しておきましょう。
ザックリと言ってしまうと「自宅兼事務所で自宅の通信費を全額必要経費で落としているとチェックされますよ」とか「自宅兼事務所で家賃を全額必要経費で落としているとチェックされますよ」といった内容となります。

たとえば、同FAQでは、たとえば「通信費について、在宅勤務に要した部分を支給する場合、業務のために使用した部分はどのように計算すればよいのか?」という問に関してインターネット接続に係る通信料等を例にあげ、基本使用料やデータ通信料などについては、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があるとし、以下の算式を示しています。
といった具合です。
(※ 上記算式の「1/2」については、1日の内、睡眠時間を除いた時間の全てにおいて均等に基本使用料や通信料が生じていると仮定し、次のとおり根拠を明示
たとえば、9月に在宅勤務を20日間行い、1か月に基本使用料や通信料1万円を支出した場合の業務のために使用した部分の計算方法は
で算定されるので、このケースであれば支出した1万円のうち経費として妥当な金額は3,334円であるといった内容が説明されています。
もちろん、同FAQの主目的は「在宅勤務に係る費用負担に関するFAQ」なので、一般企業において在宅勤務費用負担を行った場合、どの程度までであれば給与課税しなくて差し支えないか?という視点で書かれていますが、このような視点を家事関連費といい、従来より決算書作成のポイントのひとつとしてあげられていました。
たとえば、床面積50㎡の自宅兼事務所の家賃12万円を支払っていた場合、仮にその自宅兼事務所の仕事用スペースが20㎡であったとしましょう。
そのような場合、経費に落とせるのは
と算定してください、といった内容です。
それが証拠に決算書の3ページ目の地代家賃の内訳を記載する欄があり、本年の賃借料・権利金等を記載する欄と左の賃借料のうち必要経費算入額を記載する欄が別に設けられています。
これは自宅兼事務所の家賃が適正に必要経費処理がなされているのかを見るためのものと考えます。コロナ渦においては今後これが自宅兼事務所の通信費や水道光熱費まで影響してくるのではないか、と考えておくべきです。
<この章の参考リンク>
●在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ  (出典:国税庁)
 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf
青色事業専従者給与を活用したければ要件に注意
家族に給料を支払って経費にできる青色専従者給与の活用も検討したいところです。ですが、実際には「いままで生活費として渡していたものを必要経費にできるというわけではありません。「青色事業専従者給与に関する届出書」を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内)に提出する必要があるのです。また、青色専従者の「事業専従」という要件にも注意が必要です。少なくとも年の半分以上、あるいは就労できる期間の半分以上、「事業に専従」することが必要で、たとえば、青色事業専従者給与の対象者が9月に勤務先を辞め、10月~12月だけ事業のお手伝いをしたとしても税法上の「事業に専従」する要件を満たさないので、「青色事業専従者給与の必要経費算入」を否認される可能性も生じます。
一方、青色事業専従者給与の対象者に1円でも給与を支払ってしまうと配偶者控除も配偶者特別控除も適用不可となるデメリットもあります。いずれにしても、「後出しジャンケン」的な財務処理では間に合わないことには留意しておく必要があります。
10万円以上の備品等は減価償却で
事務机や事務椅子、キャビネット、あるいはパソコンやプリンタなどはいったん購入すると一年で使えなくなるとは考えにくいでしょう。このように、一年で使えなくなるとは考えにくいもの、あるいは1個あたり10万円以上のものは原則、減価償却を通じて費用化することになります。
減価償却とは法律で定められた耐用年数に基づいて費用化する方法でパソコンであれば4年、プリンタであれば5年といったように定められています。たとえば、2021年の9月に12万円のパソコンを新調したというケースであれば減価償却費は
と算定されます。つまり、4年を通じて費用化されることが1年/4年という算式に表され、一年のうち9月~12月の4ヶ月間使用されたことが4ヶ月/12ヶ月という算式に表されています。いずれにしても、12万円全額が費用化されるのではなく、そのうち減価償却を通じて費用化するのはこのケースの場合だと1万円ということです。
ただし、所得税の青色承認を受けている人は少額減価償却資産の特例という制度2022年3月まで利用可能です。少額減価償却資産の特例というのは合計が300万円までで、1個あたり30万円未満のものは、一時に必要経費に落とせるというものです。
減価償却を通じて費用化するか、少額減価償却資産の特例を使うかは任意で選択できるのでそのときの事情に応じて選べばいいでしょう。
<この章の参考リンク>
●少額減価償却資産の特例 (出典:中小企業庁)
 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/2020/download/06zaimu.pdf
売上の売掛計上と費用の未払い計上
「収入金額は、現実に収入した金額ではなく、収入すべき金額によって計算」するという税法の規定にも注意が必要です。たとえば、入金額のみをもって、決算書を作成すると「売上の計上漏れ」が起こります。具体的には、12月分に行った業務の報酬が1月あるいは2月入金になっていたりすると、通常、12月分の売上、つまり、本年の確定申告の内容に含めないといけないということです。
これは、「いつの時点の必要経費まで今期に算入できるのか」という点についても同じことがいえます。つまり、12月分の通信費の支払いが1月あるいは2月になっていたとしても、今期の必要経費に算入できますし、いわゆる打ち合わせ費用や参考図書の購入などについてクレジットカードを利用していた場合でも、クレジットカードの決済日ではなく、クレジットカードの利用日が年内であれば今期の必要経費に算入できます。
2022年1月から導入される電子帳簿保存法
2022年(令和4年)1月以降、経理の電子化による生産性の向上・テレワークの推進・ペーパーレス化の推進などを目的として電子帳簿保存法の改正が施行されますので、これについても軽くふれておきましょう。
などは歓迎される税制改正ですが、他方、電子取引データを紙に印刷して保存することは不可とされました。つまり、いままでは、メールの添付ファイル、ECサイトからダウンロードできる領収書、クレジットカードのWeb明細などを紙に出力して保存することも認められてきましたが、2022年1月からは、電子取引データは電子データのまま、訂正・削除履歴が残るシステムに保存しなければならず、これに違反すると、青色申告の承認取り消し事由になるということです。
つまり、いままでは自らパソコン入力した仕訳帳や総勘定元帳、他社からもらった請求書や領収書などは紙で印刷し、保管していれば帳簿等の保存義務を満たしていることになりました。この措置はこの措置のまま残りますが、しかし、2022年1月以降はメールの添付ファイル、ECサイトからダウンロードできる領収書、クレジットカードのWeb明細などは電子データのまま保管することが義務づけられているのです。
ただし、この要件違反を起こすと直ちに「青色申告の承認を取り消す」ということにはならないでしょう。国税庁から発表されている電子帳簿保存法一問一答によると
とされています。
しかしながら、このような改正が2022年(令和4年)1月以降、スタートするということには留意しておくべきです。個人事業主においても、決算書作成データに直結するメールの添付ファイル、ECサイトからダウンロードできる領収書、クレジットカードのWeb明細などは適宜、バックアップファイルに保管、あるいはクラウドサービスを利用した上で、「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を設けるなどの準備を徐々に進めておきましょう。
たとえば、本来であれば、上記電子取引項目に対し、取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定するようにもとめられていますが、基準期間の売上高が1,000万円以下の小規模な事業者であれば、このような検索要件は不要とされています。「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」のサンプル集も国税庁ホームページからダウンロードできますし、上記一問一答によるとただちに「青色承認を取り消すことにはならない」との記載があります。
つまり、
ことが重要でしょう。

<この章の参考リンク>
●改正電子帳簿保存法 パンフレット (出典:国税庁)
 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf
●令和4年1月1日以後対応 電子帳簿保存法Q&A(一問一答) (出典:国税庁)
 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/4-3.htm
●電子帳簿保存法関係 各種規定のサンプル集(出典:国税庁)
 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm
< 執筆者のご紹介 >
田中卓也税理士事務所(http://www.taf-mall.com/)
代表 田中卓也
税理士、CFP®。中小企業・個人事業主などの確定申告、決算書作成のみならず経営相談、キャッシュフロー表の立て方、資金繰りの管理、保険の見直し、相続・事業承継対策などで事業主をサポート。各種セミナーでの講演活動や講師、執筆活動にも力を注ぐ。
著書『自営業+フリーランサーのための確定申告』『インターネットで確定申告』『税制改正対応・会社法施行後の役員の報酬・賞与・退職金140問140答』など多数。
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共済まんが
「がんばれ! PE(ぺー)助 」
フリーランスの方が死亡した場合、サラリーマン時代の分を除けば遺族の生活を支える「遺族年金」のうち対象となるのは「遺族基礎年金」のみです。(子のない配偶者の場合や、子があっても支給対象となる子に該当しない場合、遺族基礎年金は支給されません。)PE共済会はその他の保障とともに、万が一加入者ご本人が亡くなられた場合の準備をすることができます。詳しくはコチラをご確認ください。
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次回もお楽しみに!!
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