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―引野さんは入社されてまもなくオンライン診療情報サイトの立ち上げに関わったそうですね。 |
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引野: 私が入社した2018年に厚生労働省よりオンライン診療に関する初版のガイドラインが公表されました。新しい医療形態ということもあり、ルールもかなり難しく、医師や医療機関もわからないことが多い状況となっていました。また医師向けの情報も複数に点在しており、必要な情報の取捨選択がしにくいという問題点も発生していました。それらあらゆる問題点の解決の一助になるべく、医療従事者・医療機関向けにオンライン診療について情報をまとめたサイト「MedionLife」を立ち上げました。 |
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―ひと口にオンライン診療と言っても、国の情報を見ると「オンライン診療」と「オンライン受診勧奨」と「遠隔健康医療相談」があります。どう違うのですか。 |
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引野:利用される皆さんに知っていただきたいのは「オンライン診療」と「遠隔健康医療相談」の2つです。「オンライン診療」はシンプルにこれまでの対面診療に代わり、ビデオ通話を通じて病気の診断や、治療、お薬の処方などが受けられます。一方の「遠隔健康医療相談」はあくまで「相談」にとどまり、診断や処方はできません。たとえば、「子どもがおもちゃのブロックを誤飲したのですが…」と相談したら、「明日小児科の先生に相談してみてください」とか「一般的には1~2日後に便と一緒に排泄されることが多いです」など、医学の書籍に載っているような一般的アドバイスをもらえます。でも、「〇〇のような症状があるのですが病気でしょうか」とか「私はなんという病気でしょうか」といった「診断」にかかわる行為まではできません。また、オンライン診療は必ず医師がリアルタイムにビデオ通話で対応することになっていますが、遠隔健康医療相談では看護師や助産師、カウンセラーなどの医師以外の方が対応するケースやチャットで提供される場合もあります。国の定義にある「オンライン受診勧奨」は、医師にビデオ通話で自身の状況をご相談して、診療を受けた方がいいかを判断してもらう、オンライン診療の1つ手前の窓口ととらえていただければと思います。 |
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―自分自身のことではなく家族の相談をしたい場合はどうでしょう。たとえば、「親が認知症ではないかと不安」というような。 |
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引野:基本的には気持ちの上で安心したいという場合は、まず遠隔健康医療相談が良いと思います。相談だけで受診するのは億劫で、私も実際に遠隔健康医療相談を利用して、医療機関に行く前の“事前伺い”として利用できると感じました。簡単な相談なら無料で受けられるところもありますし、比較的低料金で専門の医師が対応してくれる窓口もあります。ただ、その後にご家族や本人の状況をふまえてもう少し詳しいアドバイスがほしい、という場合には医療機関に直接聞きに行くと良いと思います。 |
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-費用も異なりますか? |
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引野:オンライン診療はあくまでも対面診療の補完になるので、基本的には対面診療の約9割程度の診療費となります注)。保険診療であれば3割負担で、自費診療は医療機関によって料金は異なりますが、基本的に対面の料金と同程度のケースが多いです。一方、遠隔健康医療相談の料金はサービス提供者によって違います。たとえば民間業者だと「1回500円」というサービスがよくありますし、自治体が提供するケースだと、新型コロナ対策の一環として無料で提供しているところもあります。コロナ禍で色々と専門家に聞きたい、でも家は出たくないという人が増えているので、「当面の間は無料でやります」という民間業者もありました。ビデオ通話かチャットなのかによっても料金は違い、チャットの場合はチャットボットを活用している例もあり、無料~安い料金で受けられるようです。 注)医療機関によってシステム利用料、薬や処方箋の配送料が別途かかる場合があります(いずれも自費)。 |
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