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メルマガ2025.06.27

■PE共済会 メールマガジン【 第84号 】

< 共済まんが >「がんばれ! PE(ぺー)助 」
PE助今日は何してる?都内某所で目撃された驚きの姿とは? (まんが 百万 友輝)
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「梅雨(つゆ)」という言葉は、中国から伝わった「黴雨(ばいう)」が語源という説があり、雨が多く黴(かび)が生えやすい季節という意味だそうです。
なるほど気温も湿度も上がるため、カビだけでなく、食べ物が傷みやすくなって食中毒の発生リスクも上がりますよね。
この時期、手軽に予防できる代表的な昼食メニューに「梅干しのおにぎり」がありますが、他にもお酢を使った付け合わせが定番の「カレー(らっきょ)」「ハンバーガー(ピクルス)」なども同様の効果が期待できます。不安定な天気で失われがちになる食欲を増進させる効果も期待できますので、ぜひ試してみてください。
さて、近年にわかに注目されている「短鎖(たんさ)脂肪酸」。言葉は聞いたことはあるけれど、実はよく知らないという方もいらっしゃると思います。
今回のコラムは、お腹の調子を良くするだけじゃない、その驚くべき効果について解説いただきました。今月もぜひ最後までお楽しみください。
PE共済会 事務局 藤原
はじめよう!
「ジブンゴト健康経営」
< 特別インタビュー>
腸から健康をつくる~「短鎖脂肪酸」のチカラ
高額療養費(69歳以下の方の上限額) の表
お話:堀米綾子さん
(森永乳業(株) 研究本部バイオティクス研究所 菌体機能研究室マネージャー)

聞き手:中保裕子
(医療ライター/有限会社ウエル・ビー)
腸内細菌の研究が進むにつれて最近注目されている「短鎖脂肪酸」。その作用や健康へのよい影響についても数多くの研究報告から明らかになってきています。そのチカラを知り、恩恵を得るには――。健康が気になるプロエンジニアの皆さんも、「短鎖脂肪酸」を意識した腸活を始めてみませんか。
遺伝子解析技術が腸内フローラを解明した
――「腸活」ブームは腸内細菌の研究の成果から生まれ、現在も続いているように思います。
堀米:腸内細菌の研究はかなり古い歴史があり、昔は細菌を培養して細菌の形や、どんな糖を利用して増殖するかといった性質から細菌の種類を特定していました。ただ細菌は培養条件によってかなり性質が変わってしまうという限界がありました。1990年代からは遺伝子解析のおかげでより正確な細菌の特定が可能になりました。2000年代に入ると膨大な遺伝子配列を速い速度で読める次世代シーケンサーが登場。ヒトの腸内細菌の中には培養ができないものもあったため、かつては研究には限界があったのですが、糞便の中のDNAを抽出し、次世代シーケンサーによりその遺伝子の配列を読むことで、培養できない細菌も含めた個人個人の腸内細菌の種類や組成の情報が一度に大量取得することが可能になりました。それで健康な人と特定の病気のある方との腸内細菌の違いが研究されるようになりました。
技術の進化という面ではもうひとつ、無菌動物の実験技術が確立されたことも大きなステップになったと思います。2006年にアメリカの研究グループから報告された、無菌マウスを使用した興味深い研究をご紹介します。この研究では、ひとりはやせ、ひとりは肥満の双子の兄弟の腸内細菌をそれぞれ無菌マウスに移植しました。すると、太った方の便を移植された無菌マウスは肥満マウスになり、腸内フローラによって肥満が起こるということが証明されたのです。こうした健康と腸内細菌の因果関係が明らかになったことが腸活のブームにつながった要因のひとつと考えています。
老化や脳、メンタルへの影響も
――最近は「短鎖脂肪酸」の名前をよく見かけるようになりました。短鎖脂肪酸とはそもそもどのようなものなのですか?
堀米:短鎖脂肪酸は、口から摂った食物せんいやオリゴ糖を腸内細菌が分解して生成する炭素数の少ない脂肪酸の総称です。主なものとしては「酢酸(さくさん)」「酪酸(らくさん)」「プロビオン酸」の3つがあります。腸内細菌が産生するものですから、腸の健康に関連することは想像しやすいですよね。たとえば酢酸は、腸管の細胞のエネルギーになり腸の動きを活発にする、腸の炎症を抑える、腸管のバリア機能を強化するなどの作用があることがわかっています。
――バリアというと有害な物質を通過させない、ということですよね。
堀米:そうです。腸管は口と肛門とで体外に通じていますし、食物を通じてさまざまな有害菌が入ってくる可能性があります。短鎖脂肪酸は、腸管バリア機能を強化し、有害菌が作り出した有害な物質が血管内に入って全身に回るのを防いだり、腸内のpHを下げて酸性に傾け、有害菌の増殖を抑制したりする作用もあります。
有害物質の侵入を防ぐことは、全身の炎症反応の抑制にもつながっていると考えられます。本来、炎症は大事な免疫の反応で、たとえば風邪を引いたときの炎症は、ウイルスを退治するために白血球が集まって攻撃している状態です。それ自体は重要なのですが、だからと言って炎症が慢性的に続いてしまうと病気や老化につながると考えられます。
2013年にスペイン主導の国際的研究チームが発表した9つの老化要因(現在は12項目)についての提言「AGING HALLMARKS」でも、2023年の改訂で「腸内フローラの乱れ」が加わりました。現在は、老化は一種の病気であり、予防も治療もできる。そんな考え方が広がってきています。
炎症を抑えるという点では、もうひとつ、アレルギーのリスクを低減する効果も知られています。花粉やペットの毛など、自分のアレルゲンが体内に入ってきたとき過剰に抗原を攻撃してしまう反応がアレルギーですが、短鎖脂肪酸は過剰な反応を抑制する作用があります。
さらに短鎖脂肪酸自体は腸壁を通過して血流にのり、全身の細胞に働きかけてよい影響を与えることもわかってきました。血糖値を上げすぎないようコントロールするなど、エネルギーの代謝の調整にも短鎖脂肪酸がかかわっています。
――脳と腸とは密接に関係しているという「脳腸相関」という言葉もありますね。
堀米:脳はヒトにとって生命に直結する大事な臓器なので、不要な物質が入らないように血液脳関門(BBB)というバリア機能があり、病原体や他の場所の細胞などはブロックし、ブドウ糖やアミノ酸など脳の活動源となる分子の小さい物質だけを通します。短鎖脂肪酸は血液脳関門を通過して、BBBの健全性を維持したり、脳の神経細胞や免疫細胞に働きかけたりすることが知られています。脳腸相関は、腸内細菌関連の学会でも近年注目されているトピックですね。
腸内環境の理想はダイバーシティだった
――短鎖脂肪酸には老化や炎症や代謝や脳機能まで、幅広い健康機能があるのですね。どのくらい腸内で産生されているのですか?
堀米:腸内フローラ(腸内細菌叢)は個人によって非常に異なるので、その人の腸内細菌や摂る食事の内容によって、短鎖脂肪酸の産生量も変わってきます。
――産生量にはいわゆる「善玉菌」「悪玉菌」が影響するのですか?
堀米:たとえば、ビフィズス菌は善玉菌と呼ばれるような有用菌のひとつで、短鎖脂肪酸のひとつである酢酸を産生しています。こうした有用菌が十分にあるかどうか、腸内細菌叢のバランスが影響すると考えられます。
――では、どんな腸内細菌のバランスが理想的ですか?つい善玉菌優位、“ビフィズス菌でいっぱいの腸内”みたいなものをイメージしますが…。
堀米:もちろん有用菌が多いことも大事なのですが、それと同じくらい大切なのが多種の細菌が棲んでいて「多様性」が高いことです。腸内の多種多様な細菌は、それぞれ単独で活動しているのではなく、さまざまな性質、役割、機能を持つ細菌が、相互に影響し合うことで総合力を発揮するひとつのチームとして存在しています。腸内で多種多様な細菌がそれぞれの特徴を生かしながら働くことで、腸内環境の変化に強くなり健康が維持できると考えられています。また、腸内細菌叢全体で、ビタミンや短鎖脂肪酸などの有益な物質が多く生産されている状態が良い状態とされています。
――なるほど、腸内も社会もダイバーシティが大事なのですね。
短鎖脂肪酸を摂るのではなく、腸内で“つくらせる”。
――では、腸内に短鎖脂肪酸をどうやって増やせばよいのでしょうか。短鎖脂肪酸自体をお手軽に摂れる、というわけではなく、腸内細菌につくってもらわないといけないのですよね。
堀米:当たり前のようですが、基本は規則正しい生活、バランスの良い食事と適度な運動です。それに加えて、ひとつは短鎖脂肪酸を産生する有益な菌であるプロバイオティクスを摂ることです。その代表がビフィズス菌です。もうひとつは、ビフィズス菌を増やし活発にするエサ=プレバイオティクスを摂ること。具体的には水溶性の食物せんいやオリゴ糖があります。たとえば朝食にビフィズス菌入りのヨーグルトを一品加え、はちみつや果物を一緒に摂る。果物は食物せんいとオリゴ糖が摂れますし、はちみつはオリゴ糖が豊富です。
――そのくらいなら、料理をする時間やスキルのない人でも続けられそうです。実際に取り入れてから、腸内フローラの状態が改善されるまでどれくらいかかりますか?
堀米:個人差がありますが、1~2週間くらいは同じヨーグルトの摂取を継続してみると良いでしょう。腸内環境の改善を知る手がかりはお腹の調子の自覚症状と、便の状態です。毎日の便の硬さなどから、腸内環境の変化を知ることができるでしょう。
――今日からは短鎖脂肪酸を意識した腸活に励みたいと思います。ありがとうございました。
【 ビフィズス菌と乳酸菌の違い 】
ビフィズス菌と乳酸菌は形も棲む場所も異なる、生物学的に全く異なるもの。ビフィズス菌には短鎖脂肪酸を産生する機能があります。
ビフィズス菌と乳酸菌の違いの表
ビフィズス菌と乳酸菌の違いの表
森永乳業ウェブサイトの資料をもとに作成
【プロフィール】堀米綾子さん
森永乳業(株)研究本部バイオティクス研究所 菌体機能研究室マネージャー。2004年北海道大学農学部卒業、2006年東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了、森永乳業入社。乳タンパク質、機能性素材の研究開発を経験後、ビフィズス菌の機能性、腸内フローラと健康に関する研究に従事。
【ライター】中保裕子(なかほゆうこ)
医療・健康ライター。有限会社ウエル・ビー代表取締役。広告代理店マーケティング企画部勤務、マーケティング企画会社取締役を経て1993年に独立、個人事業主として活動後、2003年より法人化。 医療・健康情報の取材・記事執筆やインタビュー調査に従事。2019年、書籍「大腸活のすすめ~腸は自分で変えられる~」(朝日新聞出版)の編集・構成に携わる。
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次回もお楽しみに!!
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