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メルマガ2023.10.27

■PE共済会 メールマガジン【 第74号 】

< 共済まんが >「がんばれ! PE(ぺー)助 」
行楽シーズンたけなわですが、今日もプロエンジニアのお困りごとがないかと探索するPE(ペー)助。今回はどこへ出没するのでしょうか。(まんが 百万 友輝)
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朝夕に冷え込むことも増え、本格的に秋らしくなってきました。皆さん風邪などひいていませんか。
さて、今年は近代化した都市圏を襲った唯一の巨大地震「関東大震災」からちょうど100年を迎えます。これを機にメディアでも防災関連の情報発信が盛んに行われていますが、体感的にも「災害が増えたな」と感じられている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
数年から十数年のうちに、また大きな地震がやってくる予測がされている今日、私たちは日ごろから防災への意識を持っておくべきではないかと思います。
今回のコラムは、そんな課題にお答えするため、防災系Youtuber・Voicyパーソナリティとしても活躍中の防災アドバイザー高荷智也さんに「在宅避難」の考え方や被災時に活躍する最強の防災グッズ「スマホ」活用のためのアプリ情報などを教えていただきます。
ぜひ最後までご覧いただき、みなさんの防災知識をバージョンアップしてください。
PE共済会 事務局 藤原
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SES在宅ワーカーのための防災・BCPガイド
「命を守る避難」と「生活を守る避難」の事前準備とスマホ活用のポイント
はじめに
自宅で被災をする可能性の高い在宅ITエンジニアですが、災害時の「避難」をどうするか決めていますか。災害が生じると、なんとなく避難所などへ行かなければならないような気持ちになりますが、実際にはどう考えるべきでしょうか。
また、せっかく避難の準備をしても、逃げ遅れが生じてしまえば意味がありません。災害の不意打ちを避けるためには、スマートフォンとアプリの活用が便利です。スマホはある意味で最も進化した、最強の防災グッズのひとつと言えます、これを活用しない手はありません。今回のコラムでは、事前に確認をしていただきたい避難の準備と、スマホ活用のポイントをご紹介します。
災害時に行う「避難」の種類
災害が発生したら逃げる!と考えている方も多いと思いますが、そもそもこの「避難」には2つの種類・シチュエーションがあります。ひとつは「命を守る」ために行う避難、もうひとつは「生活をする」ために行う避難です。
「命を守る」避難は、災害前の避難と発災後の避難があります。台風など「いつ・どこに・どのくらい」の影響をもたらすのかが分かる現象に対しては、事前に想定被災地の外へ広域避難を行ったり、自宅に留まると危険が生じそうな場合は、安全な場所にあるホテルへ自分で宿泊する方法もあります。これは勤務地を選べるSESワーカーのメリットと言えます。
一方、大地震や突発的な水害など、被害発生後に避難が必要となる災害の場合は、自力で安全な知人・親戚宅などへ移動するか、最寄りの避難場所(指定緊急避難場所)へ逃げることになります。避難場所は災害の種類ごとに異なるため、事前にハザードマップを見て場所を調べておくことが重要です。
「生活をする」避難は、命を守った後に自宅での生活が困難となった場合に行う避難です。この場合も自力で知人・親戚宅へ身を寄せる方法は有効ですし、被災地の外へ移動ができそうであれば、インフラが正常な地域のホテルに宿泊したりする方法もあります。
いずれも難しい場合は最寄りの避難所(指定避難所)へ移動しますが、最初から避難所へいくことを前提にするのではなく、避難所は最後の手段と考えることが重要です。また、自宅は無事だが停電・断水などが生じている場合は、備蓄品などで生活をする「在宅避難」も可能です。
○ 避難場所(指定緊急避難場所)の例
津波避難ビル・津波避難タワーなどには、このようなピクトグラムが使われています。海岸付近で地震の揺れを感じたり、津波警報が発令された場合は、素早く避難をしてください。
撮影・補足:高荷智也
○ 避難場所(指定緊急避難場所)・避難所(指定避難所)の例
避難場所は災害の種類ごとに異なるため、「この避難場所は、どの災害に対して有効か」が情報として示されている(看板上段)。避難所は原則として最寄りの学校などが指定される。ただし安全な場所にあるとは限らないため、その「避難所が現在安全か」を確認してから逃げることが重要です。
撮影・補足:高荷智也
○ 避難所兼避難場所の例
避難所と避難場所をかねている場合は、このようなピクトグラムで表示される。例えばこの施設の場合、大地震の揺れと洪水に対する避難場所となり、そのまま避難所にもなる施設であることが分かります。自宅の最寄りにある学校などが、どのような施設になるのかを、事前に確認してください。
撮影・補足:高荷智也
命を守る避難の方針は「ハザードマップ」で定める
「命を守る」避難は、命に危険が生じる場合に行う行動ですが、これをすべきかどうかはハザードマップを見ることで想定をすることができます。
ハザードマップの自宅周辺に「色」が付いておらず、さらに目視で周辺を観察しても「沈んだり」「崩れたり」する要素が全くなければ、避難は不要です。避難指示などが発令された場合であっても、命に危険が生じないのであれば自宅に留まれば良いと言うことになります。ただし停電・断水などが生じる恐れはあるため、備蓄品の準備などは必要です。
図:PE共済会を中心に表示させた「重ねるハザードマップ」
ハザードマップを確認する際には、スマートフォン・パソコンですぐに見られる「重ねるハザードマップ」を活用するのも便利です。このWEBサイトについては前回のコラムでご紹介しておりますので、ご覧ください。
出典:重ねるハザードマップ(国土交通省)
ハザードマップで自宅周辺に「色」が付いていたり、ハザードマップには載っていないが沈んだり崩れたりしやすい場所であることが分かっている場合は、災害発生時の自宅への影響をイメージします。マンションの上層階などに住んでおり、建物は浸水するものの自宅の部屋には影響が生じないという場合は、避難せず自宅に留まることができます。
一方、自宅に留まると命に危険が生じそうだという場合には、前述の様な避難が必要です。「災害発生=即避難」ではありません。自宅に危険が及ばないのであれば、無理に避難をする方が危険に巻きこまれる恐れもありますので、ハザードマップを確認することで「屋外への避難が必要かどうか」を事前に確認することが重要なのです。
図:ハザードマップによる方針判断フローチャート(作成:高荷智也)
厳しい避難所生活よりも在宅避難がおすすめ
「命を守る」ために行う避難場所への移動はためらわずに行うべきですが、「生活を守る」ために行う「避難所」への移動は、必ずしも必須ではありません。災害が発生すると地域の避難所へ行かなければならない気持ちになりますが、最寄りの学校などに開設される避難所はあくまでも「自宅で生活ができなくなった人」が一時的に身を寄せる場所です。
避難所は宿泊施設ではありませんので、「屋根と床」以外の衣食住は自分で確保する必要があります。地域によっては、最低限の水・食べ物・毛布などを受け取れる場合もありますが、毛布ではなくアルミシートだったり、あるいは避難者が多ければこうした物資も受け取れない可能性があります。寝るための道具すら、自分で持ち込まなければならないのです。
停電や断水が生じていれば、夏は暑く冬は寒く、トイレも満足に使えません。寝具を持ち込まなければ固い床の上に転がるしかありませんし、プライバシーの確保、トラブルや盗難の回避、感染症への備えなど様々な問題が生じます。基本的に避難所の環境というものはよい物ではなく、文字通り「他に行き場が無い」人が身を寄せる場所なのです。
そのため、知人・親戚宅や自力で被災地外のホテルで生活をするか、あるいは自宅に留まって生活をする「在宅避難」を行うことを、優先的に考えてください。
在宅避難への備え
前回のコラムでは、災害発生時に自宅で仕事を継続する方法についてご紹介しましたが、停電・断水などへの備えとしては、仕事の前にまず生活を維持するための準備が必要となります。具体的には、以下の様な準備を行って下さい。
大規模な災害が発生した際、最初の3日間は人命救助や道路復旧が優先されます。生き延びた方への支援が本格化するのは災害4日目以降となりますので、最低3日分はそのまま食べられる非常食などを中心に備蓄品を確保してください。
しかし、首都直下地震や南海トラフ地震など、被災者が膨大となる災害時には支援が行き届かない可能性があるため、都市部などに居住している場合は1週間分を目安とした備蓄品を確保するとよいでしょう。この場合、全てを「防災専用」として準備すると、お金や入替の手間がかかりますので、「日常備蓄」などの手法で準備するのがおすすめです。
日常備蓄は、普段から食べたり使ったりしているものを、非常時「にも」使う方法です。災害の有無にかかわらず消費する食べ物や飲物を少し多めに買い、消費期限が近いものから使って都度入替をすることで、お金や手間を軽減させることができます。
例えば日常でペットボトル水を飲んでいたり、あるいは水は買わないが炭酸水は買っているという場合は、それを2箱購入してください。普段から消費して、1箱が空になったら1箱を補充する、これを繰り返すだけで最低限の備蓄が完了します。在宅避難に必要な物資は、できるだけ災害がこなくても無駄にならないもので準備すると長続きします。
在宅避難の準備として重要な、インフラ停止への備えとしては、非常用トイレは防災専用に必ず準備を。カセットコンロなどは日頃から使用するのがおすすめ。
撮影・補足:高荷智也
スマートフォンと防災アプリによる避難のサポート
ここまで「命を守る」避難と、「生活を守る」避難のお話をしてきました。この、避難をサポートしてくれる道具として便利なアイテムにスマートフォンとアプリがあります。スマホは平時の生活においても欠かせない道具ですが、非常時においても重要な道具となります。ここからはスマホとアプリの活用についてご紹介いたします。
総合防災アプリの活用
総合防災アプリは、主に災害の不意打ちを避けるために活用するアプリです。具体的には、緊急地震速報、大津波警報、気象庁からの気象警報、自治体からの避難情報、火山の噴火情報、Jアラートによる弾道ミサイル情報などを、プッシュ通知で受け取ることができます。大地震の揺れから身を守る行動を行ったり、水害からの逃げ遅れを回避することができます。
総合防災アプリには様々な種類のものがありますので、使いやすいものを選択いただきたいのですが、機能性・安定性などの面から、特におすすめのアプリは次の2つです。いずれのアプリも、各種の防災情報をプッシュ通知してくれるアプリで、利用者数も多く災害時にも安定して利用することができます。
○ Yahoo!防災速報 ( https://emg.yahoo.co.jp/ )
Yahoo!防災速報アプリは、多機能ですがシンプルで使いやすくプッシュ通知で確実に災害情報を受け取ることができます。防災アプリで迷ったらこれ、という定番アプリです。災害発生時には、利用者が周辺の災害情報を地図上に書き込んで、情報を共有するような仕組みも使用でき便利です。
○ 特務機関NERV防災アプリ ( https://nerv.app/ )
NERV防災アプリは、UI・UX周りにこだわったアプリです。特に緊急地震速報の受信にこだわりがあり、現在地に揺れが到達するまでの予測時間をカウントダウンで表示させる機能など、優れています。こちらのアプリも安定性に優れ大変おすすめです。
画面は「NERV防災アプリ」の地震速報。スマホ活用にはバッテリーの確保が必須、平時から使うならばポータブル電源やモバイルバッテリーを。防災専用に備蓄をするならば、10年保存ができる乾電池スマホ充電器などがおすすめ。
撮影・補足:高荷智也
お天気・気象アプリの活用
総合防災アプリは災害時に使用するアプリですが、平時からも活用できるアプリとしてはお天気アプリがおすすめです。天気予報のチェックや、雨の降り始めの通知などを日頃から活用しつつ、台風情報、大雨情報、ゲリラ雷雨の通知など非常時にも危険を避けるための情報を得ることができます。
お天気アプリにも様々な種類のものがあり、自分が使いやすいと思うものをセレクトいただきたいのですが、非常時の機能も充実しているアプリとしては次のものがおすすめです。
○ ウェザーニュースアプリ ( https://weathernews.jp/app/ )
天気予報の精度に優れるウェザーニューズ社が提供するお天気アプリです。アプリの使いやすさだけでなく、情報の活用のしやすさにこだわっています。例えば気温の表示ならば温度の数字と「寒い・ちょうどいい」などの日本語を併記する、雨雲レーダーならば「現在地で何分後にやむ・降り始めるのか」といった情報を表示するなどし、使い勝手をよくしています。
○ 3D雨雲ウォッチ ( https://pawr.life-ranger.jp/ )
予測の難しいゲリラ豪雨・雷雨の察知と通知に特化をしたアプリです。現在地周辺でゲリラ豪雨の可能性が生じると、プッシュ通知で知らせてくれます。またビジュアルにもこだわりがあり、雨雲の様子を3Dで描写することで、避難の促しなどにつながるようになっています。
携帯電波の「停波」対策
大変便利なスマートフォンですが、弱点が2つあります。ひとつは「電池」切れ、もうひとつは「電波」切れです。電池切れに対しては、自宅などにポータブル電源・モバイルバッテリー・乾電池スマホ充電器などを用意することで、ある程度自衛できます。こうした機器の活用については前回のコラムでも詳しく解説していますのでご覧ください。
一方、災害等の影響で停電が発生すると、自宅のWi-Fiが利用できなくなったり、4G・LTE・5Gなどの携帯電波がダウンしたりします。スマホがインターネットに接続できなくなると、アプリなどのプッシュ通知も受け取れなくなりますので、対策が必要です。
地図情報の事前ダウンロード
Googleマップなどのアプリでは、事前に地図情報をダウンロードすることが可能です。携帯電波が途切れても、GPSは使用することができますので、地図情報をダウンロードしておけば停電時などにもナビを使用することもできます。自動車のカーナビと同じような使い勝手ですね。
電子書籍のダウンロード
応急手当の本、家庭の医学書、サバイバルハンドブック、カセットコンロレシピの本など、非常時に知りたい情報が載っている本を電子書籍で購入し、端末にダウンロードをしておけばオフラインでも情報を活用するができます。紙の本を買っておいてもよいですが、外出先などでも使用できるのがメリットです。
終わりに
今回のコラムでは、災害から「命を守る」避難と、「生活を守る」避難について、事前の方針策定とスマートフォンの活用についてのお話をいたしました。いつでもどこにでも生じる大地震、温暖化の影響で増加する大雨など、災害大国日本においては誰もが災害に巻きこまれる可能性を持っています。
究極の防災対策は、実は引越です。沈んだり崩れたりしない場所にある、大地震で倒壊しない家に住めば、多くの災害を無視することができます。しかし日本の都市の多くは水害リスクの高い場所に広がっており、安全な場所を選ぶことが難しいのも現実です。
事前に避難の方針を定め、そしてアプリなどを活用することで素早く避難を開始できるようにしておければ、災害の不意打ちで命を落としたり、生活ができなくなったりする状況を回避しやすくなります。逃げれば助かる災害で命を落とさないように、そして非常時にも自宅で生活を継続できるように、事前対策を行ってください。
● 前回の「防災コラム」のご紹介
  2023.04.21【第71号】
  「生命」と「通信」を守る事前対策2つのポイント
  ITフリーランスが、在宅ワーク時に知っておくべきBCPを解説しています。
  ぜひ合わせてご覧ください。
< 執筆者のご紹介 >
高荷智也(合同会社ソナエルワークス 代表|備え・防災・BCP策定アドバイザー)
「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに、「自分と家族が死なないための防災対策」と「企業の実践的なBCP策定」のポイントを理論で解説するフリーの専門家。大地震や感染症など自然災害への備えから、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝える活動に定評があり、講演・執筆・メディア出演の実績も多い。著書に『今日から始める家庭の防災計画』『中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド』など。防災YouTuberとしても多くの動画を配信中。1982年、静岡県生まれ。
公式サイト「備える.jp」https://sonaeru.jp
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