PE共済会

HOME お知らせ

メルマガ2025.10.24

■PE共済会 メールマガジン【 第86号 】

< 共済まんが >「がんばれ! PE(ぺー)助 」
体調管理は仕事のうち?あたりまえだけど難しい。
そんな時は、お気軽にPE助にご相談を!(まんが 百万 友輝)
記事を読む
「秋バテ」という言葉をときどき聞くようになりました。夏の間に消耗した体力が回復しきらないまま気温が下がることにより、寒暖差や日照時間の変化によって自律神経のバランスを乱し「体がだるい」「疲れやすい」「しっかり寝たはずなのに朝スッキリしない」など様々な不調が現れるのだそうです。
それはもしかしたら「過労」のサインかもしれません。
身体的な疲労以外にも、現代は過剰な情報などによる継続的なストレスにさらされて「脳疲労」に陥ることもあります。
活動的になるこの季節、あらためて「休むこと」を見直してみませんか?
今回のコラムは、最近「休養ベスト100科学的根拠に基づく戦略的に休むスキル」(日経BP社)を出版された加藤浩晃さんに、効率的な休養の取り方についてお話をうかがいました。
今月もぜひ最後までお楽しみください。
PE共済会 事務局 藤原
はじめよう!
「ジブンゴト健康経営」
< 特別インタビュー>
“休むこと=投資”。
ビジネス戦闘力は「休養」が決め手
お話:加藤浩晃さん
(デジタルハリウッド大学大学院特任教授、東京科学大学医学部臨床教授、アイリス株式会社共同創業者・取締役副社長CSO)

聞き手:中保裕子
(医療ライター/有限会社ウエル・ビー)
プロエンジニアは体が資本。その日の心身の疲れを十分に解きほぐすことで明日もまたがんばる力が生まれます。最近「休養ベスト100 科学的根拠に基づく戦略的に休むスキル」(日経BP社)を出版された加藤浩晃さんに、効率的な休養の取り方についてお話をうかがいました。
「ビジネス戦闘力」とは何か
―― 「休養ベスト100」の表紙の “休むこと=投資”の文字が、ひときわ目を引きます。なぜ休むことが投資になるのでしょうか。
加藤:ビジネスパーソンの能力は【スキル × 人脈 × 健康力】で決まり、私はこれを「ビジネス戦闘力」と呼んでいます。ビジネス戦闘力の3要素のバランスは、年齢とともに変わります。
20~30代のうちは時間は無限にあります。ビジネス書などを読んで吸収しては【スキル】に変えていき、ビジネス戦闘力を上げる時期です。その時期は【健康力】も無限にあるので、150%くらいで頑張っても頑張れてしまいます。
私自身、スタートアップを立ち上げる前の30代前半の頃までは、業務委託を受けながらがむしゃらに働いていました。多少無理をしても問題なかったし、「働けば働くほど収入は増える」という感覚でした。
しかし、35歳ぐらいになってくると徐々に体の無理がきかなくなってきます。二日酔いが翌日まで残るようになったり、以前なら疲れていても眠れば翌朝はすっきり回復したのに、朝起きても回復しなかったり、何か食べると胃がもたれる気がしたり、カルビのような脂っこい肉は「きついかな」と感じたり。こうした変化が出てくるのは、だいたい40歳前後です。
この40歳前後を境に、ビジネスのゲームは変わります。この年代になると積み上げてきたスキルは一定化し、それまで積み上げてきたテーマのスキル本はあまり読まなくなります。そこで、ビジネス戦闘力は【人脈】を掛け算することで上げていくフェーズに入ります。一方でこの頃から【健康力】の数値がどんどん落ちてくる。せっかくスキルと人脈を積み上げても、健康力が「×0.6」では、ビジネス戦闘力は下がってしまいます。
だからこそ、「健康力」のケアが必要なのです。例えば睡眠時間。深夜2時まで働いたから7時まで眠れればいい、ではなく、最初から7時間ぐらいの睡眠時間を確保する。40歳を過ぎたら戦略的に休むことで自分のパフォーマンスを最大化する必要があるのです。
過労のサインを逃さない
――「疲労のサインに気づくことが大切」もこの本の重要なメッセージだと感じます。
加藤:特に知っていただきたいのは疲労には体の疲労と、脳の疲労があるということです。理性を司る前頭前皮質が疲弊してしまうと、いつもよりキレやすくなったり、むやみにイライラしたり、ひどく落ち込んだりします。感情のコントロールがきかなくなるのは、脳の疲労の典型的なサインの一つなのです。「性格が変わったのでは?」とまで言うのは大げさかもしれませんが、いつもなら怒らないことに怒ってしまったり、いつもより深く落ち込んだりするような時は、体が“警告”を発しているサインである可能性があります。
実は40歳以上の過労死の多くは、単純な疲労だけではなく、生活習慣病が背景にあるとの調査結果もあります。高血圧や糖尿病、動脈硬化といった病気がある上に、過労がトリガーとなって心筋梗塞や脳血管障害を引き起こしてしまう。40代は生活習慣病が増えてくる年代でもあるので、年に一回の健診を受けることをお勧めします。
健診は二次予防(早期発見・早期治療)ですが、さらに重要なのは一次予防です。生活習慣病の予防も大切ですが、いかに自分のパフォーマンスを高く保ち、短い時間で成果を上げるか。だらだらと8~10時間働くよりも、6時間で今までの倍の成果を出したり、クリエイティブな発想を生み出したりする方が、ビジネスとしてはプラスになるはずです。そのためには頭と体がクリアで、疲れていない状態にしておくことが大事なのです。
ストレスが引き起こす
「男性更年期」という罠
――CHAPTER5では男性更年期についても触れられています。これも【健康力】低下につながるのでしょうか。
加藤:女性の更年期障害は広く知られていますが、男性にもれっきとした更年期障害があるのはあまり知られていません。血中の男性ホルモン(テストステロン)量は本来、20〜30歳頃にピークを迎え、その後は年間1〜2%ずつゆっくり下がっていきます。男性ホルモン値が低下すると、やる気がない、疲れたといった症状が現れ、これを「LOH症候群」ともいいます。
――男性更年期はシニアの問題というイメージがありますが…。
加藤:確かに、本来の男性更年期(LOH症候群)は60歳ぐらいで起きるものです。しかし、今、30代、40代でもストレスによってテストステロンが急激に落ちる場合があることが問題になっています。一時的にでも急激にホルモン値が下がってしまうと、本来60代で起きるはずの更年期症状が30代、40代でも起きてしまう。活力がない、疲れやすい、やる気が出ない。現在、この年代でうつ病と診断されている人の中にも、この男性更年期が一定数混じっているとされています。元気がないときに、「歳のせいだ」と諦める前に、一度ホルモン値を測ってみてほしいですね。
――男性ホルモン値はどこで測ってもらえるのですか。
加藤:以前は泌尿器科が主でしたが、今は普通の内科でも測れるようになってきています。メンズヘルスやアンチエイジングを専門とする先生も診てくれます。
仕事の意義を見出すために、
振り返る時間をもつ
――著書では100のポイントが記載されていますが、プロエンジニアはまずどこから「戦略的休養」に取り組むべきでしょうか。
加藤:特にITフリーランスの方々は、納期に追われがちだからこそ、疲れる前に計画的に休む必要があります。具体的には、以下の3点をお勧めしたいですね。
1. 週に一日、完全に仕事から離れる日を作る。
2. デジタルデトックスの時間をもつ。
例えば、お風呂に入った後はもうスマホを見ないなどです。
3. 仕事中も1時間に1度は立ち上がる。
長時間パソコン作業で同じ姿勢が続くため、ベースとして1時間に1回立ち上がるのが理想です。トイレに行く、飲み物を買いに行くなどして、意識的に立ち上がるのがよいと思います。
1. 週に一日、完全に仕事から離れる日を作る。
2. デジタルデトックスの時間をもつ。
例えば、お風呂に入った後はもうスマホを見ないなどです。
3. 仕事中も1時間に1度は立ち上がる。
長時間パソコン作業で同じ姿勢が続くため、ベースとして1時間に1回立ち上がるのが理想です。トイレに行く、飲み物を買いに行くなどして、意識的に立ち上がるのがよいと思います。
――CHAPTER5にはメンタル面でのストレス対策として、「仕事の意義を見出すこと」も挙げられています。加藤さんご自身、患者さんと向き合おうと使命感をもって医師になったのに、書類作成に消耗していた当時、「先生のおかげで、孫の顔がはっきり見えるようになった」という患者さんのことばで自分の仕事の意義に気づいたという話は印象的でした。
加藤:自分の仕事の意義が見いだせていない状態で仕事をすることが、最もストレスフルだと感じています。定期的に「自分の仕事が社会にどうつながり、役立っているのか」を振り返る時間を設けることをお勧めしたいですね。私自身、今も毎週月曜日の朝8時から30分間は、通常の仕事をせず、自分の目標の見直しをする「朝活」にしています。この30分で、私は以下の3点を思いつくまま書き出し、その週の大事な予定を確認します。
1.目標の再確認:私は何になりたいのか、どうなることが目標なのか。2.先週の振り返り:先週何ができたのか、目標に向かって進んでいるのか。3.改善点の検討:思うように進んでいない場合、どんな改善ができるか。
1.目標の再確認:私は何になりたいのか、どうなることが目標なのか。2.先週の振り返り:先週何ができたのか、目標に向かって進んでいるのか。3.改善点の検討:思うように進んでいない場合、どんな改善ができるか。
こうした書き出し作業をデジタルで行うのが好きな人もいると思いますが、私は手書き派です。手書きは頭の中を雑に、デトックス的に外に出すことができ、思考の整理につながる効用があると感じています。
ペンとノートを持つ加藤さん 「朝活」用ノートは2013年から同じペンとノートを使用。朝活にも、企画アイディアにも用いる、加藤さんの「思考の源泉」だという。年8冊のペースで書ききるので、100冊近くの「思考」が溜まっている。
ペンとノートを持つ加藤さん
「朝活」用ノートは2013年から同じペンとノートを使用。朝活にも、企画アイディアにも用いる、加藤さんの「思考の源泉」だという。年8冊のペースで書ききるので、100冊近くの「思考」が溜まっている。
AI時代だからこそ、
身体性こそが資本になる
――最後にうかがいます。なぜ今、「休養」なのでしょうか。
加藤:それは、AIが進化し、能力やスキルだけでは差別化ができなくなっていった時に、資本になり、差別化できるのは体、つまり身体性だけだと考えているからです。
例えばコードを書くという作業をとってみても、AI導入によってアウトプットは誰がやっても同程度になるとしたら、業務委託先を選ぶにあたって「目がキラキラしている」「こいつは面白い」といった、人間的な魅力や活力が重要になっていく。その時に選ばれる活力は、適切な休養を取っていないと生まれません。スキルや能力が標準化していく時代だからこそ、今までは多少ないがしろにされていたかもしれない健康に、ちゃんと目を向けケアしないといけない時代になったと思うのです。
――ありがとうございました。
参考書籍:「休養ベスト100 科学的根拠に基づく戦略的に休むスキル」(2025年6月刊・日経BP社・1,760円)
Amazon 著書ページ : https://amzn.asia/d/8MdWg2x
【プロフィール】加藤浩晃さん
2007年、浜松医科大学卒業。眼科専門医として1,500件以上の手術を執刀し、白内障手術器具や眼科遠隔医療サービスを開発。2016年、厚生労働省技官。2017年、AI医療機器開発企業であるアイリス株式会社を共同創業し、取締役副社長兼CSO(最高戦略責任者)に就任。2021年、一橋ビジネススクールにてMBA取得。著書に『医療4.0』『医療4.0実践編』(いずれも日経BP)、編著に『医療×起業』『デジタルヘルストレンド』(いずれもメディカ出版)など多数。
【プロフィール】加藤浩晃さん
2007年、浜松医科大学卒業。眼科専門医として1,500件以上の手術を執刀し、白内障手術器具や眼科遠隔医療サービスを開発。2016年、厚生労働省技官。2017年、AI医療機器開発企業であるアイリス株式会社を共同創業し、取締役副社長兼CSO(最高戦略責任者)に就任。2021年、一橋ビジネススクールにてMBA取得。著書に『医療4.0』『医療4.0実践編』(いずれも日経BP)、編著に『医療×起業』『デジタルヘルストレンド』(いずれもメディカ出版)など多数。
【ライター】中保裕子(なかほゆうこ)
医療・健康ライター。有限会社ウエル・ビー代表取締役。広告代理店マーケティング企画部勤務、マーケティング企画会社取締役を経て1993年に独立、個人事業主として活動後、2003年より法人化。 医療・健康情報の取材・記事執筆や医療系インタビュー調査に従事。
【ライター】中保裕子(なかほゆうこ)
医療・健康ライター。有限会社ウエル・ビー代表取締役。広告代理店マーケティング企画部勤務、マーケティング企画会社取締役を経て1993年に独立、個人事業主として活動後、2003年より法人化。 医療・健康情報の取材・記事執筆や医療系インタビュー調査に従事。
合わせて読みたい!
「ジブンゴト健康経営」バックナンバーのご紹介
・第72号( 2023.06.23 発信 )
ストレスマネジメントに役立つ 「マインドフルネス」というスキル
・第66号( 2022.06.24 発信 )
“リモートワーク不調”をもたらす「3つのスギ」
・第60号( 2021.06.25 発信 )
自分の健康は自分で守る!これだけは知っておきたい “人間ドック”
【もくじへ戻る】
共済まんが
「がんばれ! PE(ぺー)助 」
「所得補償手当て」はケガや病気で30日を超えてそれまでのお仕事を続けられなくなった場合に、「就業不能」を証明することにより、途絶えた収入の代わりとして、加入コースと同じ月額補償額をそのままお支払いいたします。ご加入90日間は待期期間となりますので、事前のご準備が必要となります。
詳しくは コチラをご確認ください。
次回もお楽しみに!!
漫画<百万 友輝>
【もくじへ戻る】
☆☆ 配信案内
■ このメールは、株式会社PE-BANKにてプロ契約をされている皆さまに配信させていただいています。
■ このメールは、等幅フォントを使ってお読みください。
■ 本メールマガジンの配信停止を希望される場合は、お手数ですが「お問い合わせフォーム」よりお申込み下さい。
【 編集・発行 】PE共済会 事務局
〒108-0074 東京都港区高輪2-15-8 グレイスビル泉岳寺前
フリーダイヤル:0120-994-824 / 一般回線:03-6386-3531
E-mail:kyousaikai@mcea.co.jp
URL :https://pe-kyousai.jp/
*ご意見・お問い合わせはこちらまでお願いいたします。
お知らせ一覧に戻る